その ”発作” 、てんかんとは限らない。犬のジスキネジアという不思議な症状。

ジスキネジアは、「発作性」という用語が頭に付けられて「発作性ジスキネジア」と呼ばれることが多いが、てんかんとも行動の問題とも異なり、主に手や足、ときに頭が勝手に動く運動異常症の一つで、特に毛色がレッドやアプリコットのトイ・プードルに多いと言われている。手や足がじだんだを踏むように動いたり、意思とは無関係にあっちへ行ったりこっちへ行ったり、ときには突然ビョンっとバネのように跳ねてしまったりすることもある。頭がフラフラして全身が大きく揺れ、何かが憑りついているかのように振り回されてしまうこともある。

犬自身の意識はあるようなのだが、その目は戸惑っているように見える。通常は自律神経徴候はないとされているが、呼吸が早くなって、それに伴ってよだれが出ることはある。ストレスがきっかけとなる場合もあるが、前兆らしき症状はなく、パッと始まってパッと終わる。後腐れなし。といっても数十分から数時間に及ぶケースもあり、そういうときでも相変わらずけいれんを起こすわけでもない。むしろその間、犬は食事もできるし排泄もできる。実に不思議な症状だ。

だが、このジスキネジアは命に関わることはなく、数年経って自然に症状が消えていくともされている。適応となる薬はあるのだが、症状が数ヶ月に1度くらいに出る程度では、毎日薬を飲むほどでもないし、毎日飲んでもその効果判定がしにくい。本当に薬で頻度が減っているのかわかりにくいからだ。でも、てんかんはじめその他の疾患が否定的なら、命に関わらないので焦らず様子を見ていても差し支えない。週に1回以上くらいの頻度になってきたら薬を始めればいいと思う。飼い主の実体験からなのだが、薬を飲ませると症状はすぐ治まるとのことだったので、個人的にはよく効く印象を持っている。

ジスキネジアは、発作中でも意識的な排泄や飲食が可能なので、この特徴を利用して発作中に薬を飲ませることができる。てんかんでは実現不可能な対処法だ。ジスキネジアは、てんかんや行動の問題を同時並行して見極めながらではあるが、命に関わらないからこそ、その診断や投薬の判断については落ち着いて対応できる。