ただの興奮じゃない! 猫には「走り出す発作」がある。

猫の両目の瞳孔が、突然、全開になる。意識は覚醒の向こう側まで跳び越えて、別次元の領域に達したかのようだ。エネルギーはみなぎり、そばで見ているだけでも、その高ぶりが伝わってくる。自分自身を制御することもできず、体が勝手に動き出す。そして、そのまま走り出す。猫自身が止まろうとしたところで、それを制止できるようなレベルではない。

普段の性格はいたって温厚だ。ナイーブでも、センシティブでも、デリケートでもない。むしろ穏やかで、一緒にいるだけでこちらが癒されるような存在だ。それなのに、突然、別の猫になったかのように走り出す。まるで前触れもなく、脳の中でバチッとスイッチが入ったかのように、パーソナリティが急転する。脳の神経細胞が一気に興奮し、その異常な活動が運動をつかさどる領域へと広がっていく。そして、体はその命令に従うように動き出す。

これは、単なる「興奮」ではない。猫には、走り出すことそのものが症状として現れる「疾走発作」があることが知られている。この疾走発作では、走り出す前に顔面がピクピクすることもある。突然、怒ったように攻撃的になることもある。そして、走り出した先で倒れて、そのまま痙攣を起こすこともある。

つまり、「走る」という一見シンプルな行動の中にも、さまざまな発作症状が組み合わさっている。猫の発作は、必ずしも倒れてガクガク震えるとは限らない。顔がピクピクする。怒る。走る。倒れる。痙攣する。興奮や怒り、恐怖、遊び、あるいは奇妙な行動にしか見えなくても、その背景には脳の異常な電気活動が隠れていることがある。猫の発作は、実に複合的で複雑なのだ。