犬の「口がガクガク」「歯がカチカチ」これって、てんかん? ― ミオクロニー発作、てんかん、発作性ジスキネジアをどう見分けるか。

犬の飼い主から、「口がガクガク震える」、「歯をカチカチ鳴らす」という相談を受けることがある。「てんかんなのではないか?」と心配になることもあるだろう。見た目だけではその原因を決めることはできなくて、犬ではミオクロニー発作、てんかん、発作性ジスキネジア、痛みなど、複数の要因が考えられる。つまり、「歯をカチカチ鳴らしているから、てんかんだ」とは限らない。ちなみにこの細かい震えの症状は「振戦」と表現する。

だが、てんかんと関連している犬がいることもはっきりしている。例えば、唾液腺が腫れて、よだれがたくさん出たり嘔吐したりする犬で、顎のカチカチが観察されたことが報告されている。この犬は脳波検査でてんかんを疑うような変化が認められて、抗てんかん薬で症状が改善した。こういった特殊なタイプのてんかんもあり得る。つまり、口や顎の異常な動きは、実際にてんかん発作の一部として現れる可能性もあるということだ。

一方で、突然「ピクッ」と筋肉が収縮するミオクロニー発作でも、それが口や顎に症状が現れれば同じように見えるということになる。発作性ジスキネジアでも、異常な口の動きは起こり得る。発作性ジスキネジアは、突然起こる不随意運動を特徴とする運動障害で、症状は数秒で終わることもあれば、長く続くこともある。一般的には、発作中も意識が保たれていることが特徴の一つだ。同じ症状でも、その背景にはまったく異なる病態が隠れていることがあるのだ。

犬の口がガクガクする、歯がカチカチ鳴るという現象は、ミオクロニー発作でも、てんかんでも、発作性ジスキネジアでも起こりうる。そして、突発的な下顎の振戦そのものが、原因が特定できない運動障害として存在する可能性も報告されている。大切なのは、その様子を動画に残して前後関係をできるだけ細かく観察すること。状況を整理して優先順位を丁寧に見極めることで、追加検査をするのか、薬を使うのか、経過観察をするのかを決めることができる。