認知症を思わせる犬の診療の進め方。脳や体の病気、痛み、心理的要因、すべてを並行して考える。
寝つかない、徘徊する、音に敏感になった。高齢の犬に見られるようになった行動の変化に対して、認知症を疑って認知機能不全の評価を行う。結果が基準値以下だった場合、その時点で完全に認知症を否定はしないが、ひとまず頭の片隅に置いておくくらいにする。
何か疾患があるのだろうか、と考える。最初に思い浮かべる疾患は、甲状腺機能低下症。血液検査を行って確認する。これが基準値の範囲内だった場合、明らかに否定できる。さらにその他の項目にも異常値が検出されなければ、血液検査でわかる範囲での疾患の可能性については、保留となる。
では、体のどこかに痛みがあるのだろうか。関節炎など、関節の痛みで動物の行動は変わる。痛みによって、眠れない、うろうろする、その不安からちょっとしたことに敏感になる、といったことは、十分にあり得る。身体検査、運動器検査をして評価する。動物が痛がっているかどうかは、なかなか判別がつかないことが多いが…。
考え方としては、以下の通り。今のところ、認知症の可能性は低いが、初期かもしれない。関節の痛みがあるのかもしれない。はたまた、脳神経疾患かもしれない。脳腫瘍、脳炎、脳梗塞、てんかんなどは、行動の変化を起こすことがある。それとも、高齢になってから現れる分離不安か。すべての可能性を無視しないで、行動を強化しないように薬を使いつつ、経過を注視するようにする。