猫の動きがおかしいとき、使える薬がある。
家を留守にしていて、外出先から戻って来てから、猫の様子がおかしいということで、飼い主がその猫を連れてやって来た。猫に不自然なところはない。行動の問題か、神経の問題か、どちらかのような印象だった。トイレ以外の場所で粗相をして、暗いところに隠れたがる。これが主訴だ。何があったのかは、誰も見ていない。怖い思いをしたのかもしれないし、てんかんの発作後徴候なのかもしれない。
猫のてんかんの定義や分類、発作のタイプは、犬と同じだ。犬には、特発性てんかんの国際的な診断基準がある。だが、猫の特発性てんかんを診断する基準は、明確には定められていない。猫のてんかんを疑うとき、我々は、基本的に、犬の基準を参考に、診断を進めることになる。
今回のケースでは、飼い主と相談した結果、様子を見ることになった。なんとなくではあるが、不安感や恐怖心からの行動的な問題の可能性の方が高いということで、両者の意見が一致したからだ。
ここで、ただ様子を見るのでは、何も前に進まないと思ったので、薬を使ってみることを提案した。1週間後、状態は落ち着いていたようだった。どうやら、当時、自宅のすぐ横で、木を伐採していた事実があったことがわかり、その音に恐怖を感じた可能性が濃厚となった。この猫は、普段から怖がりとのこと。猫を残して外出したのも初めてだったらしい。そういったことが重なったことも、背景にあったのかもしれない。