問題行動の診療(ビーグルの吠え)【3】

前回は、吠えのきっかけを2つに絞り込みました。

  • 社会的要求(人や犬と触れ合いたい、遊びたい、関りを持ちたいという要求)
  • 障壁に対する不満(閉じ込められていることへの不満)

そして、これらに対して、行動修正法を実施しました。

まずは、お家で飼い主様にしていただいた対処法です。

  • 「おすわり」のトレーニングをする。

「人や犬を見る→興奮する」を「人や犬を見る→座る」という行動に変える訓練です。まずは、興奮するのではなく、一旦座ってもらうことで、落ち着かせることを目的としています。食事前と、散歩中に人や犬が近づいて来たときに実施していただきました。

  • 30分ほどの散歩の時間を、1時間程度に増やす。
  • 特に病院にいらっしゃる前は、十分に運動をする。
  • ご自宅での遊びの時間を増やす。

これら3つの対策は、人との交流を十分に持って、「社会的要求」を満たすこと、そして、エネルギーを十分に発散させることで、少しでも興奮する気持ちを落ち着かせることを目的としています。

  • ケージトレーニング・クレートトレーニングをする。

安心してケージやクレートで過ごしていられるようにする訓練です。「障壁に対する不満」を軽減・解消することを目的としています。

ご自宅にいるときや散歩時の、飼い主様による「おすわり」はできているようで、ケージやクレートの中では、しぶしぶですが、おとなしくしていられるようでした。病院では、来院時にすでに興奮していることが多く、「おすわり」のコマンドに応答できる精神状態ではないことがほとんどでしたが、運動量や遊びの時間を増やしていただいたことで、以前ほどのハイテンションは見られなくなっていました。非常に賢い子ですね。飼い主様と信頼関係が構築できており、トレーニングもうまくいっている様子がよくわかりました。

次回は、病院での対策です。

つづく。