若いポメラニアンの焦点性発作は真実か⁉ ― ジスキネジアと強化された行動の可能性を同時に考える。

ポメラニアンのてんかんでは、「焦点性発作」が意外に多い。てんかんを持つポメラニアンのうち、8割程度で焦点性発作が認められたとされる報告がある。これは他の犬種とは一線を画して、とても特徴的な知見である。

さらに、そのほとんどで発作中に手足の収縮が認められている。例えば、片方の手が急に突っ張る、あるいは肘を曲げた状態で固まるなど。これは後ろ足でも起こり得る。このように、手足の異常な姿勢や引きつりが突然現れる。

しかも、その動きは発作全体を通してずっと続くとは限らず、数秒から15秒程度の間隔で繰り返されることもある。さらに、動けなくなる、全身が震える、歩きにくくなる、頭を右か左のどちらかへ向ける、舌をペロっとする、よだれが出る、排泄するなど、さまざまな症状が組み合わさることもある。

つまり、ポメラニアンのてんかんは、必ずしも「倒れて痙攣する」という、一般的なイメージの発作とは別の姿をしていることを念頭に置かなければいけない。これが、他の犬種と比べて、ジスキネジアや反復される行動との区別を難しくしている理由である。

大事なのは、「症状そのもの」だけを見るのではなく、その前後に何が起きているかを見ることだ。焦点性発作では、発作中に意識反応が低下したり、呼びかけへの反応が変化したりすることがある。また、よだれ、排泄などの自律神経症状や、舌をペロっとする、口をクチャクチャ動かすといった口や顔が勝手に動くことがある。発作の前後に不安、落ち着きのなさ、徘徊などの変化がみられる場合もある。

一方、ジスキネジアでは、意識の変化や自律神経の症状を通常は伴わないとされている。そして、発症している時間が数十分から数時間と長いこともある。行動の問題であれば、直前にきっかけがあるだろうし、その行動を強化するできごとがきっとあるはずだ。

もちろん、現実の診療ではスパッと切り分けることは難しいのだが、情報をたくさん集めれば限りなく診断に近づけることはできるのではないかと思っている。少ない情報だけですぐに抗てんかん薬を始めることはせず、とにかく判断材料を大量に集める。集めて集めてその中から規則性を見極める。だから動画撮影が大事なのである。