腫瘍の脳転移を疑った犬に何ができるか。そうなる前とそうなってしまったときにできること。

気づいたときには完治が難しいだろうと思われる状態になっていることはときどきある。例えば甲状腺がんを抱えた犬。喉元に硬い塊。大きすぎて経験上これは厳しいと感じる。治療のために検査に進むのか緩和ケアだけにするのか飼い主と相談する。

そうこうしているうちに病状は進行する。目が見えにくくなる。ふらつきや狭いところに行く。これらは大脳症状である。甲状腺がんの脳転移をまっさきに疑う。さらに壁に頭を押し付ける。こうして次々と症状が現れる。ついには全身の激しい痙攣を起こす。

あっという間だ。異変が飼い主の目に見えるようになってから、ドミノ倒しのようにバタバタと正常機能が破綻していく。体が順応しているうちは病気が進行しても症状は見られないが、末期的な状態にまで達すると明らかな症状が現れる。

飼い主は急に病気になった印象を持つと思うが、じわじわと進行する病気は多い。なるべく初期の段階で気づけるように犬をよく見ておく。気になったら受診する。これを心がけるしかない。進行しきってどうしても難しい場合は、できるだけ犬の苦しみや辛さを和らげる。そして、飼い主に事態の理解と心の準備をしておいてもらう。