折れ耳のスコティッシュフォールドと、反り耳のアメリカンカール。辛いのは、関節の障害か、耳の汚れか。

野生の動物の世界に、垂れ耳や折れ耳は存在しない。本来の形質は、立ち耳である。しかし、身近な犬や猫、その他の家畜では、垂れ耳や折れ耳をよく見かける。これは、品種改良で人為的に作り出したり、人間に従順な個体を選抜して、世代を重ねたりした結果である。

折れ耳猫の代表格、スコティッシュフォールドは、品種改良によって、軟骨の変化を特徴づけられた品種だ。遺伝性の関節の病気を発症しやすいことが知られている。骨軟骨異形成症。手首や足首の骨が徐々に盛り上がってきて、触れば膨らんでいるのがわかるくらいになることもある。ものともせず生活している猫もいれば、痛がる猫もいる。痛みがあるときは、鎮痛薬を使う。治すことはできない。

では、逆に耳が反った場合はどうか。アメリカンカールは、生後4ヶ月半で耳が後ろに反り返る。これも軟骨の変形を固定した品種だ。しかし、この反ったカール耳の猫では、関節の障害が現れない。ただし、アメリカンカールの耳は、触ってみると、固めたようにカチカチで、柔軟性がない。そして、耳の穴が狭い。通気性が悪く、耳垢が貯まりやすい。耳掃除をしてもキリがない。

前に伏せる折れ耳で関節の障害が出て、後ろに反り返る反り耳では障害が出ない。スコティッシュフォールドは、すべてが関節の障害が現れるわけではないが、手足の変形が起きたときは、歩くのが苦になるかもしれない。一方で、アメリカンカールは、関節の障害が現れることはないが、もれなく耳垢が多い。常に耳にかゆみや違和感がある。どちらが辛いかは、判断が難しいところだ。