首がピクピク頚部痛。薬で軽快してもX線検査でわかることは少ないので、疾患が潜んでいる可能性を飼い主に伝える。

犬自体は静かにしているのに首の皮膚だけがピクッピクッとリズミカルに動く。これをミオクローヌスという。「首がピクピク」は「頚部痛」というキーワードを連想させる。身体検査で手足に麻痺はない。X線検査では明らかな異常は見られない。重症ではないようだ。ということで消炎鎮痛剤を処方するとすぐに改善するというケースはよくある。

ここでX線検査を行う意義を考える。CTやMRIが登場してから単純X線検査で診断できる頚部痛の原因はきわめて少ないことが明らかになっている。ところで、「単純」X線検査と表記しているのは「造影」X線検査と区別しているからで、造影すればもっとわかることが増えるのだがここでは除外する。つまり、単純X線写真に異常が見られなくても何らかの疾患が隠れている可能性は十分にあるのである。ということは、「異常はないので、痛み止めで様子をみましょう。」で済ませることはできないのだ。

頚部痛に関しては、単純X線検査で5つの疾患を診断できることが知られている。頚部痛の患者が来院したら、X線検査をしてこの5つの疾患があるのかないのかをまず確認する。なかった場合、飼い主への説明の際にそれでも他の疾患があるかもしれないと強く念を押す。消炎鎮痛剤の内服で表面上症状が改善したとしても、核心的な疾患が存在すればそのうち再発するかもしれないし、もっと重い症状が現れるかもしれない。

飼い主には今後の選択肢を伝えなければならない。今の段階でMRIといったさらなる検査に進むのか、あるいはひとまず様子を見て再発したらMRI検査を受けることを検討するのか、はたまた再発のたびに薬で対応するのか。すぐに答えは出ないだろうから飼い主に考えておいてもらう。どれを選んでも得られるものと失うものがあるが、心の準備はさせてあげられる。