認知症用のサプリメントは症状が軽いうちから始めた方がいいが、ある程度進行してからでも効くことはある。

診察台の上で興奮気味になる高齢な犬とよく遭遇する。顔に手を近づけただけで咬もうとする。抱こうにも嫌がってジタバタする。鳴き声を上げる。慎重な扱いが必要だ。脳の中のストッパーが外れたみたいに、放っておけば駆け出してしまいそうな盛り上がり方をする。覚醒しすぎている。この状態を過覚醒という。

他の症状としてグルグルと歩き回るといった前脳症状が見られることもある。前脳とは、大脳と間脳のこと。間脳とは聞き慣れない用語だと思うが、大脳と中脳の間にある。間脳は、自律神経やホルモンの調節をしている。過覚醒と旋回は、認知機能が低下したときによく見られる症状だ。若い頃にできていたことができなくなり、いろいろと我慢がきかなくなってくる。

この段階では認知症ということになる。まずは、認知症用の抗酸化成分の配合されたサプリメントを処方する。それだけで旋回をしなくなることもある。サプリメントに良く反応する犬もいる一方で、まったく様子が変わらない犬もいる。

同時に背景にも目を向ける必要がある。別の脳疾患の症状が認知機能低下という姿で外に現れているだけかもしれない。認知症だと思っていたら、しばらくしてけいれんを起こすといったことはたまにある。脳腫瘍が隠れている可能性も考えながら、経過を見るようにしている。