てんかんには、「発作の型」がある。型が崩れたときが、診断を見直すサインだ。
普段は元気で変わったところがない、生後6ヶ月齢から6歳齢までの間の年齢の犬が、全身のけいれん発作を6ヶ月の間に2回起こした。こんなときは、一般的な検査で基礎疾患がないことを確認したうえで、特発性てんかんと診断していいことになっている。必ずしもMRI検査が必要なわけではない。そうして最初に診断ができると、抗てんかん薬を開始することになる。
ところで、発作の「型」とでも呼ぶべき症状があり、それはその犬固有の現れ方をする。つまり、全身のけいれんという発作のタイプが一度現れた場合は、その後も同じように、全身のけいれんが現れるという具合に。ところが、薬を飲ませながら経過をみている中で、この決まった型が崩れることがまれにある。
この犬を例にすると、全身のけいれんではない症状が現れるということだ。冒頭の「普段は元気で変わったところがない」という状態。これは発作と発作の間の期間という意味で発作間欠期と呼ぶが、この期間を観察し続けることが大切で、この期間内に、おおむね元気ではあるのだが、ときどき別の症状が現れるということになると、事態は急転していることを示している。
例えば、ふるえる、ふらつく、倒れるなど、全身のけいれんとは異なる「神経症状」が目に付くようになるといったように。もちろん、まったく関連がない症状であることもあるが、こと「神経症状」ということになると、慎重な見極めが必要になる。特発性てんかんだと思っていたものが、実は構造的てんかんだった。その可能性を濃く感じるときにMRI検査を受けることを飼い主に勧める。品種によるが、若い犬に見られることのある髄膜脳炎は、このような経過を示すことが時々あると感じている。

