常同行動は不安や葛藤、高揚といった感情がきっかけになる。薬物と行動療法で神経回路の再構築と行動修正を目指す。

手術後に患部をしきりに気にするようになる犬は、元々デリケートなことが多い。窓の外に見える鳥、インターホンの音、来客。様々な刺激がスイッチとなって吠える。吠えることで嫌なことを排除できた成功体験が拍車をかけるのかもしれないが、そもそも敏感な性格なのだろう。

手術そのものや手術後のケアにネガティブな感情を抱くこともあり、患部を触られると怒る行動が長年続いたりする。不安や恐怖、防御の感情が生じ、そこを飛び越えると一気に攻撃が繰り出される。飼い主は深手を負う。こういうときの事態は深刻だ。

そこからさらに発展して、何か葛藤するような出来事やうれしいという感情が沸き起こったときなどにも、わざわざ過去の患部の方を見る。これは、きっかけから気持ちの変化、そして行動までの一連の神経回路が構築されてしまっていることを物語っている。もちろん患部に傷などないし、痛みや違和感があるとは思えない。つまり、常同行動にまで進展してしまっているということになる。

こういうときは薬を使う。抗不安薬や抗うつ薬の投与を検討する。刺激に対する反応をなるべく鈍らせる。一度構築された神経回路の再構築を目指す。並行して行動修正も行う。とても時間がかかるので、焦らず無理をしないことを飼い主に伝える。