前に進みたいけど進めない。散歩中の犬の葛藤。犬とすれ違うときにどう対処すればよいか。

犬の散歩中、遠くから同じように犬の散歩をしている人がこちらに向かってくる。このままだと至近距離ですれ違うはずだ。こっちの犬の耳が前に向く。前方に注目しているのがわかる。目の色が変わった。あっちの犬にロックオンだ。

前のめりになって力強く地面を蹴り始める。しかし、こちらはリードをしっかり持ってふんばる。前方と後方。力が拮抗する。じりじりとあっちの犬との距離が縮まる。せめぎ合いの最中、犬が振り向いて足に咬みついてきた。なぜ? 驚いた。

一見、脈絡がない。しかし、犬には犬の理屈がある。それは、こうだ。遠くに見える、あの犬に近づきたい。でもリードを引っ張られて前に進めない。こうしたいけど、そうできない。相反する感情が犬の中に渦巻く。葛藤だ。限界がきて、結果として我慢の逃げ場を咬む行動に求めた。

咬む行動にもこういった背景があるときもある。犬の欲望を満たそうと、相手の犬に近づけることは危険だ。飼い主は冷静になってしゃがんでハーネスを持つ、あるいはリードを短く持って通り過ぎるのを待つ。これが正攻法。しかし、犬があまりにも興奮している場合は走り抜けて遠ざかった方がいいかもしれない。