グルグル回って、しっぽや腰を咬む。若い犬のこの行動は、常同障害か、脊髄疾患か、てんかんか。

自分のしっぽと太ももを咬む犬が来た。流血している。診察を待っている間にも、咬んだらしい。いざ、診察。こっちに興味を示して、手をペロペロと舐めてくれて、落ち着いているように見えた。しかし、首輪から垂れているリードが腰やしっぽのあたりにちょっとでも触れようものなら、カっと振り向く。身体検査はできなくなった。

若い頃から、興奮するとグルグルしっぽを追いかけるように回っていたそうだ。数年経過するうちに、ついにはしっぽをかじるようになり、さらには、太ももを咬むようにもなったという。最初は、興奮や葛藤をきっかけとする転移行動だったものが、常同障害になったのかもしれないが、そもそもしっぽや腰に異常な知覚を感じていた可能性もあり得る。あるいは、てんかんなのかもしれない。

いずれにしても、痛そうだ。最初のきっかけが何であっても、もはや、しっぽや太ももが痛くてイライラしている。このところ、眠れていないのだそうだ。このままでは、あまりにもかわいそう。早く解放してあげたい。何を置いても痛み止めだ。ここで、ちょっとコツがある。神経に作用する痛み止めを使う。不安感を下げる効果もあるから、一石二鳥だ。うまく効きそうな予感はしていた。

かつては、とにかく吠えて、しっぽに威嚇していたそうだ。それが、この1週間、日ごとに改善した。しっぽは上がり、リラックスし、眠れるようになったそうだ。家族の心の痛みも和らいだ。さあ、ここからだ。考えられる原因はいくつかある。手札を揃えて、タイミングを見計らって、切る。解決するまで時間はかかるだろうが、選択肢があることは、飼い主に希望を与える。