グルグル回ってしっぽや腰を咬む。常同障害か、脊髄疾患か、てんかんか。もはやきっかけはわからないが、整理して診療を進める。

自分のしっぽや太ももを咬むという行動は、犬では見かけることがある。柴犬はそもそも尾追い行動がよく見られる犬種として有名だが、他の犬種でもあり得る。咬み過ぎて流血することもある。ひどくなると、首輪から垂れているリードが腰やしっぽのあたりにちょっと触れるだけでも、カっと振り向く。診察が難しいこともある。

ここまでになるには相当な時間が経過しているのだが、若い頃からその兆候があることが多い。興奮するとグルグルしっぽを追いかけるように回っていて、数年経過するうちに、ついにはしっぽをかじるようになる。さらには、太ももまで咬むようにもなる。おそらく最初は興奮や葛藤をきっかけとする転移行動だったものが、常同障害に伸展したのかもしれないが、そもそもしっぽや腰に異常な知覚を感じていた可能性もあり得る。あるいは、てんかんなのかもしれない。

いずれにしてもこの状態は見るからに痛そうだ。最初のきっかけが何であっても、もはや、しっぽや太ももが痛くてイライラするのだろう。眠れないくらいにもなる。あまりにもかわいそうだし、早く解放してあげたい気持ちになる。こんなときは、何を置いても痛み止めだ。神経に作用する痛み止めを使う。同時に不安感を和らげる効果もあるから、一石二鳥だ。経験的にはうまく効く印象を持っている。

これが効果を発揮すると、犬はリラックスして眠れるようになる。イライラや疑心暗鬼が減る。家族の心の痛みも和らぐ。こうしてやっと原因究明へ進める。ここまでは応急処置だ。考えられる原因はいくつかあるので、MRIで頭からしっぽの先まで撮影して器質的病変がないかを確認する。常同障害やてんかんの可能性が高いのであれば、薬物療法を実施する。