高齢な犬の様子の変化を飼い主は老化と思うことがほとんどだ。脳神経系の老化と病気を分けるものとは?
急にうつむき加減になって、グルグル回って食欲がない。いつもと違う様子。動きに俊敏さがない。今まで診察台の上では嫌がってすぐに飼い主に飛びついていたのに、全く抵抗しない。こういったことはたまにある。
他にも顔が片側だけに向こうとしたり手足の反応が鈍かったりなど。このように性格の変化や旋回、手足の不全麻痺で疑うのは前頭葉の障害だ。飼い主にとってこの変化を老化と思っても不思議はない。認知症にも見えるだろう。年を重ねて穏やかになって動きがゆっくりになった。そのように思うにちがいない。
脳神経系は老化によってわずかに機能は低下するが、自ら補おうとする力がある。脳にはそもそも必要な数を超える神経細胞が存在し、老化で数が減ったとしても残っている細胞が新たに回路をつくったり新しく細胞がつくられることもある。なので、トレーニングをすれば反応や動きに正確さを取り戻すことができるとされている。
脳神経系は老化に適応する組織なのだ。老化だけが原因で旋回をすることもないし麻痺が起きることもない。認知症でさえれっきとした病気であり老化ではない。つまり、こういった犬の脳神経系には老化は多少あるのだろうが、それを超える異常事態が発生していると考えるのが妥当なのだ。それは、神経を壊す何か、神経を圧迫する何か、神経への血流を阻む何か。何かが潜んでいる。