脳幹の病変は油断できない。生命の危機の可能性をしっかりと伝えつつ、少しでも緩和できるように薬を使っていく。

脳をブロッコリーに例える。ブロッコリーの濃い緑色の部分はつぼみだ。そこから薄緑色の茎がつながっている。つぼみを大脳、茎を脊髄に例えると、つぼみに接する茎の部分は脳幹である。脳幹は、視覚、聴覚、呼吸、心拍、意識など、生命維持に重要な役割を担っている。

腫瘍にしても炎症にしても感染にしても、脳幹に病変が形成されると生命の危機が迫る。加えて、脳幹から延髄、脊髄、末梢神経へと神経は連続してもいるので、平衡感覚や手足の位置感覚が障害されて斜頸やふらつきを示したりもする。

MRIで病変の特定ができても、そこが脳幹であれば外科的に手を出せない。オペは極めて難度が高く、損傷すれば深刻な後遺症や死亡リスクを伴う。したがって、多くは内科的管理や緩和ケアを実施するにとどまる。脳圧を下げ、炎症や腫れを引かせ、感染を抑える。使える薬をすべて使う。

心苦しいが、突然に最期を迎えてしまう可能性があることを飼い主に伝えておかなければならない。病気が進行するとどうなるかをなるべく事前に説明して、飼い主に理解しておいてもらうことが大切だ。