顔面のミオクローヌスは、てんかんを連想させる。ハエ咬み行動をする柴犬が抱えるのは、行動学的問題か脳疾患か。

3歳のころから、空中に向かってパクパク何かを咬む動きをするオスの柴犬は、4年経っても、まだそれをときどきするらしい。興奮したときに、その行動が多いとのこと。ずっとケージの中に入っていて、出てきたときもそうで、我慢していた後にも起きやすいようだ。

ハエ咬み行動。あるいは、フライバイティングと言う。食道や胃、後頭部や首、耳や眼の疾患が原因かもしれないし、てんかんや行動的な問題かもしれない。なかなかその区別が難しい。興奮したときや、フラストレーションがたまったときに見られるようなので、行動的な問題が一番という印象だ。

あるとき、別件で来院したその犬の飼い主に話を聞いてみたら、まぶたがピクッピクッとすることがあるらしい。人間が眉間にシワを寄せながら、イライラを押しとどめようとするのとは、ワケが違う。犬がそれをするとは思えない。

ミオクローヌス。筋肉の小刻みな律動。顔面のそれは、てんかんを連想させる。この犬の行動は、焦点性発作か。これまで、てんかんの可能性を来院のたびに説明しているが、飼い主がその行動を許容しているので、検査や投薬をしていない。今後の頻度と程度に注目だ。