高齢の犬でも特発性てんかんは起こり得る。ただし、大脳徴候と発作型の変化を見過ごさないようにする。
セオリーに従えば、高齢犬がけいれん発作を起こしたら脳腫瘍は必ず疑う。しかし、高齢の犬でも特発性てんかんは珍しくない。おそらく遺伝的にてんかんの素質は持っていながら、高齢になるまでたまたま発症しないということなのだろう。
犬が10歳前後で初めててんかん発作を起こしたとき、最初に反応性発作の除外をする。反応性発作とは、脳は正常で、それ以外の代謝性や中毒性の原因で起こる発作のことをいう。それが否定できれば、抗てんかん薬を開始する。同時に精密検査に進むかを飼い主に検討してもらう。様子を見るのであれば、その後、発作や大脳徴候が現れないかを観察する。大脳徴候とは、行動や性格、歩き方の変化、視覚喪失、聴覚や嗅覚の低下といった大脳の異常に端を発する症状である。そういった症状がなければ、診断の順位は1位が特発性てんかんになるだろう。
ここで、安定していたところに群発発作が起きるなど変化が訪れた場合にどうするかというと、抗てんかん薬の用量を増やす。群発発作とは、24時間以内に2回以上起きる発作のことである。てんかん発作の頻度が増えたということになるが、それだけであれば、最初の評価のまま、つまり、特発性てんかんとして扱う。なので、脳の検査は必要ない。抗てんかん薬の血中濃度を測定し、基準値の上限まで到達しているかどうかを確認する。
一方、大脳徴候が現れたとか、発作型が明らかに変化したとかがあれば、対応が変わる。発作型の変化とは、焦点性発作が全般性発作へ、といったように、発作のタイプが変わることを言う。脳MRI検査と脳脊髄液検査に進むことを、飼い主に提案する。