前庭疾患や認知症の症状は、脳腫瘍の別の顔かもしれない。辻褄が合うのであれば薬の選択肢を増やせる。
高齢な犬がぐるぐる回る。そのうち尻もちをついてもがいて起き上がれない。そこでイライラして泣き叫ぶ。こんな状況に直面する飼い主は辟易だ。眼をよく見ると水平にゆっくり動いて素早く戻るを繰り返している。水平眼振だ。それで体が回ってしまう。
前庭疾患だが認知症も否定できない。両方の対策を同時に行うのであるが、この2つの疾患は仮の姿かもしれない。実態は脳疾患ということもあり得る。脳腫瘍で前庭機能が障害され、認知機能が破綻する。十分成り立つ説明だ。
MRIで確認できればいいが、すべてにおいてそうもいかない現実がある。けいれんが起きれば脳腫瘍の確率は極めて高くなるのだが、そうでなければ選択肢を絞れず手探りになる。めまいに対する内服や抗不安薬、睡眠導入剤を使う。
この類の薬は効き方に個体差があって安定しない。毎日が微調整との格闘だ。だが、脳腫瘍の可能性が少しでもあるということなら、抗てんかん薬や脳圧降下剤を使っても間違いではないだろう。論理に筋が通っていれば有効な緩和の一手になる。