認知症の犬に消炎鎮痛剤を投与する2つの理由。関節痛に対する鎮痛効果と、脳の炎症説に対する消炎効果。
夜中に急に立てなくなって、震えと夜鳴きが始まったミニチュア・ダックス。16歳。まっさきに、認知症を疑った。早速、抗酸化成分の入ったサプリメントを開始した。そうしたら、2週間で改善が見られた。このように、個体差はあるが、サプリメントで短期間に効果が現れることもあるので、もう遅いかもと思っても、諦めることはない。可能性にかけて、サプリメントを開始することは、無駄ではないようだ。
その2週間後には、さらに歩き方が良くなった。順調だ。このまま良い状態が続くことを願った。その矢先、夜に眠らず、吠え続けるとのことで、ほどなくして来院した。急に元に戻ってしまった。たまたまその日だけなのか、それとも、体のどこかが痛いのか。
高齢になると、身体機能も衰えてくるので、関節炎が起きていたり、関節の可動域が狭くなっていたりするなど、体が痛くなったり、うまく動かすことができなくなって、イライラして吠えるということがある。いずれにしても、別の薬が必要と判断した。睡眠導入剤と消炎鎮痛剤を処方した。
認知症は、脳の萎縮が主な病態なのだが、脳に炎症が起きているという説もあるので、消炎鎮痛剤が認知症の進行を遅らせるかもしれないとも言われている。そこに期待しつつ、体の痛みがあれば、それも緩和しつつ、少しでも効いてくれることを祈りながら、経過を見守ることにした。