犬の食べムラにどう対応するか。気にかけすぎることが逆効果になる犬もいる。毅然とした関わり方を身につけよう。

自宅では、フードをなかなか食べないとか、食べムラがあるとか、飼い主を悩ませているプードルが、ペットホテルにやって来た。「あんまり食べないです。」との言葉とともに、1週間預かった。

初日は、フードをあげてもすぐに食べず、しばらくして部屋を見に行っても、食器の中にほぼそのまま残っていた。翌日は、部屋の外にフードが散らばっているのに気づいた。犬が鼻で食器の中からはじき飛ばしていたのだろう。気に入らなかったのだろうか。ところが、その翌日、午前の診療の途中で見に行ったら、食器が空になっていた。朝、確実にフードをあげたことをスタッフに確認し、すぐに食べるようになったことがわかった。

結局、そういうことだ。病院では、ある程度、放っておかざるを得ない。きっと、訴えても何も起こらないから、諦めて食べたのだろう。飼い主は、気にし過ぎなのだ。放っておけば、病気でない限り、そのうち食べる。味が気に食わないとか、食べる気にならないとか、犬には犬の事情があるのだろうが、そこで、例えば、飼い主が何かをトッピングする、といったことをすると、”食べずにいると別のものをくれる”と犬に思わせてしまう。

そうすると、その繰り返しだ。飼い主は、犬に食べさせているつもりだが、「トッピングしたら食べるよ。」というように、逆に犬にしつけられてしまっている。本当は、毅然とした関わりのできない飼い主に、逆に悩まされていたのかもしれない。過剰に気にかけないようにと飼い主にアドバイスをして、犬を受け渡した。