神経の話
喉の腫れは、甲状腺癌か。脳転移を疑った犬に何ができたか。次々と現れる大脳症状を食い止めるためには。
20㎏ほどもある12歳のボーダーコリーは、咳をするとのことで来院した。喉元を触ってみると、10㎝くらいの硬い塊を感じた。明らかに、皮膚の下にある喉の構成成分の形態が大きく変化していることがわかった。腫瘍を疑った。経験上、 […]
1剤ではコントロールができなかった特発性てんかんの犬。2剤、3剤と微調整を重ねて、1年かけて安定させた。
診察台に四つ足で立ったまま、ボーっとしている。ハチの広い、短毛でフォーンのチワワは、少しだけユラ~っとして、今にも眠ってしまいそうだ。触診していれば、その刺激で目は開くが、手を離して飼い主と話していると、いつの間にか目を […]
この嘔吐は、てんかんの症状だろうか? 嘔吐とてんかんの関連について、このように考えた。
16歳のトイ・プードルが、てんかんの診療に来院した。その症状は、“ 嘔吐 ” だという。瞬間的に、飼い主の思慮深さを感じた。” 嘔吐” と "てんかん" を結びつけるには、一般的には乖離がある。この乖離が埋まる経験をして […]
高齢犬の様子の変化を、飼い主は、老化と思うことがほとんどだ。脳神経系の老化と病気を分けるものとは何か。
急にうつむき加減になって、グルグル回って、食欲がないとのことでやってきた15歳のトイ・プードル。最初にその姿を見て、なんだかいつもと違うと思った。動きに俊敏さがなくなっている。これまで、診察台の上に乗せると、嫌がってすぐ […]
首がピクピク、頚部痛。薬で軽快しても、X線検査でわかることは少ないので、疾患が潜んでいる可能性を飼い主に伝える。
6歳の小型犬MIXは、首のあたりがピクピクするということで来院した。動画を見せてもらったら、確かにその通りだった。動画の中で、犬自体は静かに佇んでいるのだが、首の左側の皮膚だけがピクッピクッとリズミカルに動いていた。ミオ […]
脳幹の病変は油断できない。生命にいつ危機が迫ってもおかしくないことを、しっかりと伝えつつ、少しでも緩和できるように薬を使っていく。
脳をブロッコリーに例える。ブロッコリーの頭の部分は、つぼみなのだそうだが、その濃い緑色のつぼみから、薄緑色の茎がつながっている。つぼみを大脳、茎を脊髄とすると、つぼみに接する茎の部分は脳幹である。脳幹は、視覚、聴覚、呼吸 […]
見た目は皮膚病だったのだが、どうも違う気がする。皮膚に何かを感じているようだった。神経の痛みを和らげる薬で落ち着いた。
自分の背中や腰のあたりの皮膚を激しく咬む12歳の猫。患部の皮膚は、ベロリとめくれていた。ノミがいたので、ノミの駆除をしたが、それでも症状は治まらなかった。細菌性の皮膚炎の可能性に対して抗生物質を投与しても、変わらなかった […]
抗てんかん薬の始め時を迷うことがある。そんなときは、点鼻薬を常備してもらえれば、飼い主も獣医師も安心できる。
てんかんに対して、投薬を勧めるかどうか迷うのは、こんなときだ。中年齢の犬。今まで、1年に1回程度の発作が起きていた。それが、先月発作を起こし、そして、昨日から今朝まで落ち着かない様子で、小刻みに震えて、歩き回る。この行動 […]
顔面のミオクローヌスは、てんかんを連想させる。ハエ咬み行動をする柴犬が抱えるのは、行動学的問題か脳疾患か。
3歳のころから、空中に向かってパクパク何かを咬む動きをするオスの柴犬は、4年経っても、まだそれをときどきするらしい。興奮したときに、その行動が多いとのこと。ずっとケージの中に入っていて、出てきたときもそうで、我慢していた […]
てんかん発作、手足の麻痺、そして、認知機能の低下。転移か原発か。脳腫瘍を疑ったポメラニアンの壮絶な介護が始まった。
ある腫瘍性疾患のケアをしていた、13歳のポメラニアンが、全身のけいれん発作を起こした。腫瘍は肝臓と脾臓にあることがわかっている。脳に転移したのか、特発性てんかんがこの年齢になって現れたのか、まったく別の腫瘍が脳にできてし […]