雷の日、犬のためにできること。雷恐怖症の犬への正しい向き合い方。

頭上に暗雲が立ち込め、遠方からゴロゴロと重低音が鳴り響く。時折ピカッと一瞬のきらめきが走る。家の中の犬はとたんに落ち着きを失う。うろうろして怯える。雷恐怖症の犬は少なくない。そして、理屈がわからないので、永遠に慣れることはない。不安や恐怖は積み重なるばかりである。

このような犬への対応にはいくつかの方法がある。たとえば、普段からのクレートトレーニング。雷の音を録音し、晴れた日に小さな音量から聞かせ、徐々に音量を上げて慣らしていく。雷が予想される日はサンダーシャツを着せる。犬は適度な締め付けで不安感が和らぐとされ、専用のピタッとしたシャツも市販されている。こうした準備を日頃からしておけるといい。

しかし現実には、雷の当日になって初めて「さぁどうしよう」と思案するケースがほとんどだ。そんなとき、まず飼い主がとるべき基本姿勢はこうだ――なだめない。静かに見守る。平静を保つ。過剰な心配や接触は、かえって犬の不安を煽る。テーブルや椅子の下などに身をひそめる犬もいるが、それは「安全地帯が必要」というサインだ。あらかじめケージやクレートを置き、いつでも入れるようにしておくとよい。

さらに、薬の助けを借りるのも有効だ。雷は前兆がつかみやすい。天気予報を確認し、雲行きが怪しくなったら、1~2時間前に抗不安薬を与える。それだけで雷が通過するまで落ち着いて過ごせることもある。普段からのトレーニングと薬の常備――この二本柱で、雷の日をできるだけ穏やかに乗り越えられる。