犬の尾追い行動は、行動学的問題と神経疾患の両方を並行して考えなければならない。抗うつ薬だけでなく、鎮痛薬も有効なことがある。
安定させるまではひと苦労なのに、その安定した状態はちょっとしたことで一瞬にして崩れ去ってしまう。神経に作用する薬剤には、すぐにはやめられないものがある。それは、突然やめると急激に悪化するからだ。抗てんかん薬や抗うつ薬の中にはそういった薬がいくつかある。離脱症状とか、退薬症状とか、禁断症状とかいうふうに呼ばれる。
尾追い行動が抗うつ薬で1年ほど安定していると、減薬を検討することがある。一般的に、なぜ減薬を考えるかというと、効いていない、内臓への負担を避ける、経済的な事情、薬を飲ませ続けることそのものへの抵抗、といったことが挙げられる。だが、薬を減らしたとたんに再発することはある。しかも、最初のころよりも悪化したりする。
減薬により尾追い行動は激しさを増し、自らを傷つけることもある。すぐに元の用量へ戻しても、効果が現れるまでは時間がかかる。別の薬を併用せざるを得なくなる。こういうときは抗不安作用や鎮痛作用のある薬だ。これはこれでうまく効くことがある。尾追い行動のきっかけとなる原因のひとつに、腰や尾の神経の障害があることが知られている。もしこういった問題がそもそもあるのなら奏功する可能性はある。
行動学的問題とともに、潜んでいるかもしれない神経疾患。鎮痛薬は、そういった潜在的な疾患にも効果がある。抗うつ薬よりも即効性はあるので印象は悪くない。抗うつ薬を減らす中で現れる離脱症状には慎重を期さなければいけない。同時に尾追い行動の場合は鎮痛薬が効くこともあるので、併用は現実的かもしれない。