2ヶ月で5割減、8ヶ月で9割減。トイ・プードルの尾追い行動は、診療開始からじわじわと改善していった。

3歳を迎えたトイ・プードルは、診療開始から8ヶ月で、問題行動がほぼなくなった。幼齢期のころから自分の尾を気にする仕草があり、そして、クルッと回る、尾追い行動が見られていた。そのうち、不快なときや葛藤を感じたときに、特にその症状は現れるようになり、次第に悪化していった。MRIまで含めた検査では、はっきりとした原因がつかめなかった。そして、最終的に行動学的なアプローチをするに至った。

さっそく薬物療法を開始した。効果はてきめんだった。2ヶ月で、尾追い行動は半分以下にまで減った。目に見える改善に、飼い主のモチベーションは上がり、遠方にもかかわらず、毎月必ず来てくれた。毎回少しずつ尾追い行動が減っていることを報告してくれる。尾追い行動がまだあることを憂うのではなく、頻度が減っていることがうれしい。そういうポジティブな思考が垣間見えた。

そろそろ効果も頭打ちしそうな頃かと思いながら、それでもわずかな改善が続いている。それがまた飼い主のモチベーションを保ってくれている。飼い主の心持ちも徐々に落ち着いてきて、犬の方もそれを感じ取って、さらに落ち着いてきたのではないか。そう思いたくもなる。こうして、実に8ヶ月にして、尾追い行動は、ほぼなくなった。ときどき見られることはあるのだが、飼い主は許容範囲内と受け止めているようだ。

当院が設定する、3ヶ月で50%以上の改善が達成された例だ。当院を受診するまでに、各種の検査がすべて済んでいて、あとは行動学的な問題しか残されていない、というところにまで至っていたから、改善が早かったのかもしれない。あるいは、薬物療法がピッタリはまったからなのかもしれない。いずれにしても、正攻法と、飼い主の前向きな姿勢が必要不可欠だ。