犬の尾追い行動。早めに気づいて飼い主の関わり方を適切に変えることが将来の問題行動を防ぐことに役立つ。
飼い主からのちょっとした相談という形で尾追い行動の質問を受けることがある。ぐるぐるとしっぽを追いかける行動。尾追い行動は柴犬で見かけることが多いが、それ以外の犬種でもときどき見かける。
尾追い行動の原因を絞り込むためにはたくさんの情報が必要で、すぐにその意味を解釈することはできない。そのときの前後関係をさらに詳しく聞いてみると、あるケースでは遊びたいけど遊んでもらえないときとか、「ダメ!」と言われたときとかに起こる。遊びの最中に楽しくてしっぽを追いかけるということもあるが、そうでないこともある。
遊びたいとか気が向くことをするだとか、ポジティブな感情があるところに外からストップがかかって、遊べないとか止められたとかネガティブな感情が沸き上がる。相反する感情が同時に存在し、どちらを取るか迷う心理状態。これを葛藤と言う。尾追い行動が葛藤から起きることは多い。気持ちをどこにぶつけていいかわからない。ある意味こうしたイライラを表現した結果としてぐるぐる回る。
一見スルーしそうなのだが、葛藤ということであれば放置しておくと常同行動や常同障害へ発展させてしまう恐れがある。なので飼い主に関わり方をアドバイスする。遊ぶ時間を決めて犬が疲れるまでめいっぱい遊ぶ。そして、「ダメ!」と制止したり叱ったり罰を与えたりすることをNGにする。早い段階で気づいてあげて飼い主に対応の仕方を変えてもらう。日常診療の中で将来の問題行動の芽を摘むのだ。