プードルの尾追い行動。飼い主の前向きな姿勢が改善をたぐり寄せる。初期対応はすでにしてくれていたようなもので、あとは薬物療法だけだった。
4ヶ月齢で迎えたころから、しっぽの方をしきりに気にする様子が見られていたトイ・プードル。成犬になってもその行動は治まらず、トリミングの後に、特にその程度がひどくなり、激しくグルグル回るようになってしまったとのことだった。大学病院で、MRI検査は済んでいた。頭からしっぽまで、異常はないとのことだった。
2頭目を迎え入れることになったそうだ。そうしたら、さらに尾追いが悪化した。不快や葛藤を感じているようなときに、多いと言う。寝ていても、突然起きて尾追い。生活に支障をきたしている。耳をかく、歯ぎしり、後ろ足を咬む。様々な症状が出始めた。MRI検査のときに、少なくとも、脳や脊髄に、形としての異常はないことはわかっている。そうすると、おそらく精神的、心理的、行動学的な要因だろう。常同障害を疑った。
ここまで強い症状があると、通常の初期対応だけでは不十分と予想されたので、すぐに薬物治療を開始した。まずは、基準の用量の半分から。同居犬との接点を少なくすることも、あわせてしてもらった。1ヶ月後、ほとんど変わらなかった。この薬は、効果が出るまでに時間がかかることがある。最低限、副作用がないことは確認できたので、基準の用量まで増やした。そして1ヶ月後、尾追いの回数が半分以下に減った。薬が効いてきた。思いのほか早い。
飼い主が当院にやって来たのは、薬物療法が目的だった。それまでに自身で積極的に動いて、あとは薬しか選択肢がないというところまで至っていたようだった。犬の様子もよく観察していて、問題行動を細かく把握している。スコア化までしている。そういった飼い主は、一つひとつやるべきことをやっていくので、望んだ未来を着実に手に入れることができるのかもしれない。