成犬以降で発症して高齢になって悪化する。この進行性タイプのミオクロニー発作を放置せずに早く対処する。
ミオクロニー発作で使われる抗てんかん薬は、それ以外の全般発作や焦点性発作で第一選択薬として使われる抗てんかん薬とは種類が異なる。その薬は、個人的には特にミオクロニー発作に効果が見込める感覚を持っており、処方された犬たちは発作が減り、発作がほぼゼロになる犬もいる。さらに、以前よりもかえって元気になったという飼い主の声を聞くこともあるくらいだ。
ミオクロニー発作とは、全身の筋肉がリズミカルにビクビクと細かく動くタイプの発作で、全身の激しい痙攣は起こさない。その症状は、ビクッと何かに驚いたような仕草とほぼ同じ動きを示し、その勢いでへたり込んだり尻もちをついたりする。実際、高い音や大きな音、日の光や目の前で物が動くなどの聴覚や視覚の刺激をきっかけとすることが多い。
ワイヤーヘアードのミニチュアダックスでは遺伝性なので若くてもミオクロニー発作が見られるが、それ以外は高齢な犬によく見られる印象がある。今は小型犬が多いので、小型犬での相談を多く受けるが、経験的には大型犬でもあると思っている。こういったケースでは成犬以降に発症して高齢になって症状が悪化するようで、おそらく進行性のタイプなのだろう。徐々に日常生活に支障が出てくる。
発作の瞬間は意識が消えるかもしれないが、持続的に意識がなくなることはない。それでも脳全体に広がる異常な神経の興奮を端緒とする発作であるために、絶対に放置や様子見をしてはならない疾患である。犬自体は、初期は発作の時以外はおおむね普通の生活を送ることはできるが、高齢になって進行すればそうもいかない。苦しくつらい生活になるだろう。一刻も早くそこから解放してあげたいし、その手段はあるのだ。