発作が減らない! 変えるか、増やすか、薬の調整。正しいのはどっち?
てんかんがあって、他の病院で薬をもらって飲ませているが、1ヶ月のうちに2~3回発作が起きている。どう考えればよいか、との相談を受けた。治療目標としては、3ヶ月に1回程度に減らしたいので、薬の量が足りないか、薬を追加するか、まずはこのどちらかだ。
5歳の犬。若齢だ。MRI検査まで済んでいて、脳に形の異常はないという結果のようだ。どうやら特発性てんかんらしい。投薬を開始して、その10日後くらいに血中濃度は測定されていて、結果は基準値の範囲内だったとのこと。具体的に数値を聞いてみると、まだ基準値の上限には達していない。余裕はありそうだ。
冒頭の問いに対する答えは、内服薬の増量だ。薬の切り換えを提案されたそうなのだが、それだと、どの薬剤を選ぶかという種類の問題と、増量よりも手間がかかるという管理の問題と、薬が合う合わないという副作用の問題が頭をもたげてくる。単純な切り換えは、かえって事情を複雑にしかねない。
方法はシンプルだ。てんかん治療の鉄則は、1剤を最大限まで増やすこと。それでも発作が治まらなければ、そこにもう1つ薬を増やす。一つの方法をめいっぱい試してみて、それでもダメなら、それと並行して新たな方法を試していく。ダメだから止めるのではなく、最初の薬を活かすのだ。