ピクピクと腰の皮膚が波打つ猫。ピリピリとしびれが走っているのかもしれない。知覚過敏で猫自身も驚く。
朝、突然走り出したという、2歳齢の猫の体には、ある一つの徴候が見られていた。飼い主によれば、腰のあたりの皮膚がピクピクと動いていたというのだ。それを聞いたとき、ある疾患が思い浮かんだ。それを説明した上で、飼い主には、以降の発生頻度や症状の展開に注意してもらいながら、経過を見てもらっていた。
それから3年間、突然走り出すことは、一度もなかったそうだ。ただ、背中の皮膚がピクピクと波打つことは、ときどきあったという。猫で、背中や腰のあたりの皮膚が、ピクピク、ビクンビクンと細かく動く症状は、たまに見る。とても特徴的だ。”むしずが走る”と表現されるように、何かゾワゾワするような感覚がするのかもしれない。
猫知覚過敏症候群。皮膚の薄い筋肉とか、皮膚の神経とか、腰あたりの脊髄とか、そういった場所に異常な感覚が起こるらしい。ゾワゾワとするのかもしれないが、ピリピリとか、ビリビリとか、しびれるのだろうか。それに伴って走り出してしまったのは、この猫の場合、きっと、びっくりしてのことなのだろう。
真の原因は、まだ明らかになっていないようなのだが、背中や腰の異常な感覚から、手やおなか、腰をなめるという症状に発展することもあるようだ。かゆくてなめているように見えていても、実は、変な感覚がするからなめている、なんてことも、もしかしたらあるのかもしれない。気づいていないだけで、思いのほか、もっと多くの猫にあるのでは、と思っている。