変性性腰仙椎狭窄症。後ろ足の爪がすり減っているとピンと来る。高齢の中大型犬で見られる腰仙椎の異常。
犬が立ち上がるときにふらつく。持っている代謝性疾患によっては体調不良からそうなることもある。貧血、低血糖、発熱などなど。その場合は、全身のふらつきだろう。一方で、上半身だけとか下半身だけとか、体の前か後ろかどちらかだけのふらつきというのもよく見かける。
ふらつく犬の診察で前足や後ろ足の爪の甲の部分がすり減っている場合は、神経の障害を疑う。爪切りをして先端の部分が短くなっているのとは違う短縮の仕方だ。こういったときは、歩くときに手や足をうまく前方へ運べていないと考える。引きずっていてそうなるからである。
例えば、左右両方の後ろ足を引きずるということは、第3胸椎から後ろの神経の異常だ。第4腰椎から後ろの神経の異常なら馬尾の障害かもしれない。中大型犬では脊髄は第6腰椎付近で終了するが、その先は脊髄から枝分かれした末梢神経が後ろへ伸びている。その形態が馬の尻尾のように見えることからそう呼ばれる。
腰椎やその後ろの仙椎の安定性がなくなったり脊椎同士の間隔が狭くなったりして、この馬尾が圧迫されて麻痺やしびれ、ふるえが起きる。先天性や腫瘍性もあるが、加齢に伴って腰仙椎の周辺の靭帯が変性したり、椎間板が突出したりすることの方が多いようだ。変性性腰仙椎狭窄症という。