高ぶる黒猫(子猫のけいれん‐2‐)。

第一選択の抗けいれん薬の血中濃度が安定するまで、つなぎとして、別の抗けいれん薬を併用して4日。発作は完全に消えた。その間、ときどき点鼻薬を使うことはあったが、そのときの発作は軽かったとのこと。それ以降、発作の完全消失は、5日間続いている。

初診時に、第一選択の抗けいれん薬を開始してから、13日が経過したことになる。そろそろ第一選択薬の血中濃度が安定してくる頃。血液検査で確認した。初回と比較して、採血のときの過剰な興奮は、鎮まっている。結果は、期待通り、基準値の範囲内。ということは、併用薬の助けは必要なくなる。念のため、何回分かを常備薬として渡しつつ、併用薬は一旦ストップしてみる。点鼻薬は、引き続き手元に置いておいてもらう。

抗けいれん薬には、開始しても、すぐには効果が目に見えて現れないものもある。血液の中に、満遍なく行き渡るのに、時間がかかるからだ。それまでは、どうしても発作は起きてしまう。猫の抗けいれん薬の第一選択薬は、まさにそれだ。一方で、投与してすぐに効果を発揮するものもある。これらをうまく組み合わせて、いつ起きるかわからない発作に備える。

この黒猫の活動性は緩慢。よく眠る。併用薬の影響で、鎮静の深層にいるのだろう。閉じられることの多かった、その虹彩の黄色みが強い瞳は、併用薬を中止することで浅瀬に浮上し、次第に開かれてくるはず。覚醒と発作は紙一重。界面すれすれを潜行してくれることを祈りながら、3週間後に会う約束をした。