犬は一定の生活リズムに安心するので、状況が変化しても、飼い主は冷静に振る舞うようにするとよい。
犬は社会性のある動物なので、愛着を感じる人の行動の変化に敏感だ。人間が自宅で過ごす時間が長くなったり、短くなったり、そういったことは戸惑いの原因となり、犬の精神状態に多大な影響を及ぼす。例えば、飼い主が自宅にいる時間が長い状況に慣れたかと思ったら、今度は飼い主が頻繁に外出するようになる。こういうことは、犬にとっては不安要素となる。彼らには人間社会の変化は理解できない。こっちの事情を汲み取ってもらおうなんて期待は意味がない。いつまで経っても「?」なのだ。
犬はルーティーンを好む。それが楽なのだ。ルーティーンが乱されると、安心感が崩れて不安行動が現れる原因となる。決まった時間に起きて、決まった時間に食事をして、決まった時間に散歩して、決まった時間に寝る。なじみの家族が家にいて、決まった時間に外に出ていく人、ずっと家にいる人。毎日同じことが繰り返される。この一定のリズムが心地いいのだ。
だから、家族の犬への対応は、スケジュールをなるべくしっかりと組んでしまうということに尽きる。家族の日常の動きをまず基準として、それに合わせて犬の生活スタイルを決めてしまう。ある程度トレーニングが必要だが、ルールがあれば、波風が立たない。波風はストレスそのものだ。凪の状態を保つことを心がける。
ただし、人間社会は激動することがあるので、静けさが打ち破られる瞬間はいつだって起こり得る。そんなときに大事なのは、少なくとも人間の方は、平静を保つことだ。ルーティーンが崩れたとしても、精神は動揺しない。慌てない。そんなクールな振る舞いをしておくだけでも、緊張感は犬に伝わりづらい。人間は何があってもいつだって凪を保つのだ。