体調が悪くてふらつくことは、犬にも猫にも起こることはある。まずは全身状態を把握しよう。

5歳の雑種猫のふらつき。病院では伏せるようにして、体が左右に揺れている。緊張もあってか、手足を前にも後ろにも運べていなかったが、これは歩いたらふらつきそうだ。ただ、手足の神経学的な反射や反応は正常だった。目つきも問題ない。眼振はないし、意識はしっかりしている。3~4日前から食欲が減って元気がないとのことだった。そして、そうなる前に嘔吐していたらしかった。

17歳のダックスのふらつき。病院では手足が横に広がってしまう。そもそもあまり歩けない。自宅では足の力がなくなって転んで、老化が急に進んだのかと飼い主は思ったらしい。結膜が白い。貧血があるようだ。体重が減っていて、明らかにげっそりしている。目には力がない。

雑種猫は嘔吐とそれに続く食欲不振、検査の結果、慢性膵炎の疑い。ダックスは食欲不振、検査の結果、慢性腎不全。それに伴う貧血。それぞれが激しい脱水に陥っていた。どちらも全身を流れる血液中の水分の量、あるいは血液それ自体が減り、血圧が下がる。そうすると、脳への血流が減少する。こうした血圧や血流の変化が生じることで、めまいや立ちくらみが起きる。いわゆる体調不良に伴う平衡感覚の乱れだ。

これは脳を起点とする神経症状だが、元にある病気への対策と同時に、適切な処置をすれば一時的なもので治まることが多い。どちらも点滴をしたら数日で改善した。この場合、もし本当に神経病があるなら脳の病気だが、少ない可能性だと思うが、常に頭に置きながら、この猫と犬を見ている。