ミオクロニー発作を持つ犬に見られた症状。焦点性発作でないなら、脊髄の問題か、行動の問題か。
光や音の刺激を発端とするミオクロニー発作を持つ高齢のチワワに、行動の問題とも、神経の問題とも受け取れる症状が見られるようになった。ミオクロニー発作の方は、抗てんかん薬でここしばらく症状は軽減されていた。ミオクロニー発作とは、電気が走ったかのように筋肉が短く収縮を繰り返す形で現れるてんかん発作である。ビクビクとか、ガクガクとか、体が小刻みに震える。このように全身のけいれんを起こすタイプではないのだが、脳全体に異常な興奮が広がる全般発作の一種だ。
このチワワに見られた行動の問題とも神経の問題とも受け取れる症状とは、以下の3つだった。その場でグルグル回る、右足で背中あたりを掻く、右足が突っ張って、そこに口を持っていって気にする。ミオクロニー発作という全般発作を持つ犬が、体の一部に症状が現れる焦点性発作を同時に発症する可能性はゼロに等しい。なので、焦点性発作ではないはずだ。あるいはキアリ様奇形や脊髄空洞症があるのだろうか。
それとはまた別の症状も見られていた。自宅で天井の電灯を見たり、鼻先に指が触れて静電気のバチッという音がしたりすると、軽くビクっとなるという。これはおそらく全般発作まで進展する手前のミオクローヌスだろう。ミオクローヌスとは、筋肉に起こる電撃的な収縮そのもののことだ。ミオクロニーは発作とセットで使われて神経「疾患」を、ミオクローヌスはそれ単独で「症状」を表す用語である。
右足で背中を掻くあたりは、ファントムスクラッチのようにも見えるし、右足の突っ張りは頚部脊髄障害による症状とも思えるが、葛藤を感じているようなシチュエーションで現れている可能性も否定できなかった。一方で、ミオクローヌスは、その段階でとどまるのであれば、きっかけを避けるだけで済ませられるが、完全にコントロールできる保証はないので、ひとまずミオクロニー発作に対する薬を増やして、ミオクローヌスが減るかどうかを見てもらうことにした。