野性の血が濃いベンガル。それゆえに問題行動が現れやすい。矯正はできないので、ともに暮らすときは、すべてを受け止めよう。
当院の行動診療では、野生の猫種に近縁な猫は、品種の特性上、期待する効果を得られないかもしれないので、その点を了承いただいた上で、受診を検討していただいている。「野生の猫種に近縁」とは、野生猫とイエネコの混血種のことだ。例えば、ベンガル。ベンガルは、野性のベンガルヤマネコとイエネコをかけ合わせてつくられた品種である。
当院にやって来る、あるベンガルは、体はオレンジの地色をしていて、全身にバラとか雲のような茶色い模様が描かれている。手触りはとても滑らかで、首筋から腰にかけての触り心地はビロードのようなのだが、なかなかそれを感じる余裕はない。動きが素早すぎるし、スルスルと逃げられてしまうからだ。
目はらんらんとして、一ヶ所にじっとしていられない。頬のひげはキビキビと小刻みに振動し、今にも飛び跳ねそうなので、油断できない。突き上げる衝動を抑えられないようなのだ。ベンガルだけでなく、同じようなハイブリッドは、野性にとても近いため、その行動が問題視される可能性を孕んでいる。
交配を繰り返して、人間に慣れるようにしてから上市されるそうなのだが、元々の血はそう簡単には消えない。人間に対して従順になることに抗うかのような、激しい野性の片鱗が現れることがある。でも、姿形とともに、それも自然の美しさである。それを理解して受け止めてあげられる人にしか、この系統の猫は飼えない。