ガクガクガクッ。電撃的な体のビクつきは、ミオクロニー発作を疑え!

14歳のトイ・プードルは、てんかんの症状があるとのことで来院した。腰を抜かす。プルプル震える。グルグル回ってバランスを崩してへたり込む。おおまかにそんな訴えだった。普通、この症状を聞いて、てんかんとの考えにはなかなか至らない。しかし、飼い主はご友人の助言を受けて、当院にたどり着いた。

ご友人は、おそらくこの犬の決定的な症状を目撃したのだろう。それは、次のようなものだ。ガクガクガクっと体が小刻みに上下に揺れて、尻もちをつく。飼い主によれば、光を見たり、目の前でカーテンが揺れたりすると、この症状が現れるのだと言う。これは、視覚刺激によって起こるミオクロニー発作だ。

ミオクロニー発作とは、電気が走ったかのように筋肉が収縮を短く繰り返す形で現れるてんかん発作である。突然始まって短時間で終わる。なので、ほとんどは見逃されがちだし、見過ごされがちだ。ちょっとしたことのように見えるので、その意味を考えもしないし、頻度が増えなければ、気にも留めないことが多いはずだ。

この発作は、全般発作である。つまり、脳の一部ではなく、脳全体に異常な興奮が広がっている。絶対に止めてあげないといけないのだ。放っておけば取り返しのつかないことになる。この犬は、抗てんかん薬を始めて、症状はほぼなくなった。この一瞬の症状を、発作の可能性も含めて考えられるかどうか、そこにかかっている。