脳炎? 特発性てんかん? 痛み? 典型的でない症状が見られたときは、決め打ちせず慎重に見極める。
興奮した後に声を上げて倒れるという症状は、2つの問題が考えられる。痛みかてんかんかだ。震えて口を大きく開けて叫び声を上げる。体は硬直し、排泄もしてしまう。飼い主にとっては恐ろしい光景だ。震えや硬直はけいれんを思わせる。一方で、声を上げるのは痛みからとも思える。
てんかんだとすると、特発性、構造的、どちらかを見極める。一般的な検査で明らかな異常がない場合は、内臓疾患由来の反応性発作の可能性は低い。この出来事の後の犬の様子も大事だ。以前と変わらずケロッとしていればてんかんを疑う。元気がないとか、ぐったりするとか、目がうつろになるとか。最初の症状を引きずっているような印象があれば、構造的てんかんがそれ以外の問題にも目を向けなければならない。
発症当時の状況整理が大事だ。てんかんで果たして叫び声を上げるだろうか。むしろ、声を出せる状態ではないことの方が多い。激しい痛みが走った可能性は否定できない。震えはけいれんではなく、振戦かもしれないし、体の硬直と排泄も激しい痛みで全身に力が入った結果、そうなってしまのかもしれない。活発に動いたり興奮した後ということなら、体のどこかを痛めた可能性もある。この出来事の後に続く症状が、その裏付けにもなりそうだ。
脳MRIや脳脊髄液検査の結果と合わせた評価が必要になる。髄液中に細胞が検出されれば脳炎の可能性が出てくる。脳の形態に異常がなければ特発性てんかんとも言える。後頭骨の変形や頚髄の圧迫所見、キアリ様奇形、脊髄空洞症といった所見があれば、後頭部や首の痛みが生じる根拠ともなる。これだけ高度な検査をしても、やはり症状や経過と矛盾がないかをしっかり見ることが大切だ。