季節性アレルギーの発症期間は、延長している。5月から10月まで、湿気、花粉、飛散粒子に要注意だ。

新緑の季節である5月から、カモガヤやオオアワガエリといったイネ科植物が、河川敷や道端に繁茂してくる。モリモリと丈を伸ばし、たくましい。夏の花粉症の原因だ。目の周りや、腕や脛の毛が薄くなった犬の来院が増えた。

そのうち6月の入梅になると、大気はジメジメして、動物の皮膚や耳に棲む菌やカビが増殖する。6月下旬から、この高温多湿が原因と考えられる症状で、たくさんの犬が来院した。背中やおなか、指の間、耳のかゆみ。膿皮症、指間炎、外耳炎だ。

そうこうしているうちに、ヨモギやブタクサなどのキク科植物が、8月から最盛期となる。秋の花粉症の原因だ。散歩すると花粉をたくさん浴びるため、発症は犬に多い傾向がある。もちろん、花粉が風に乗って家の中に入ってくれば、猫にも症状が現れる。猫の場合は、くしゃみ、めやに、首から上の皮膚の炎症だ。撫でるとボツボツとした異物感が手に触れる。

梅雨入りのズレ、猛暑、豪雨。従来の自然界のリズムは崩れて、もはや、植物のライフサイクルも、本来のスケジュール通りには進まないのかもしれない。梅雨も夏も秋も重なり合い、季節の境目がはっきりとしなくなっている。ここに、黄砂や浮遊粉じんが飛散しようものなら、余計にたちが悪い。空中に舞う粒子に、人間だけでなく動物たちも、10月までは悩まされるだろう。