特発性てんかんの管理の際の原則:血中濃度の定期的な測定と減薬しない説明
2歳齢のトイ・プードルは、特発性てんかんと診断され、抗てんかん薬を服用していた。1年間、発作は出ていなかった。そこで、飼い主の負担を勝手に想像して、よかれと思って、減薬を提案した。薬の量を25%だけ減らした。3週間後、発作を起こしたとの連絡が入った。
慌てた。薬を元の量に戻して飲ませてもらうことにした。しかし、1ヶ月後、発作が起きることがあったと報告を受けた。そこで、さらに薬の量を25%増やした。それ以降は、3年間、発作は起こしていない。特発性てんかんでは、減薬を相当慎重にしなければいけない。当時、それを深刻に受け止めていなかった。大学の神経科の先生でも、薬を減らすことは滅多にしないそうだ。
しかも、当時は、血中濃度を測定することもしていなかった。血液中に安定的に、どの程度の薬の量が循環しているのかを把握することは、とても大切。もしかしたら、この犬の血中濃度は、参考基準値ぎりぎりの低い数値だったのかもしれない。考えようによっては、そんな状態で薬の量を減らしてしまったがために、発作が出たとも言える。
勉強不足だった。安定していたところを乱されて、この犬は、かえって今までよりも多い量の薬を飲む羽目になってしまった。定期的な血中濃度の測定と、基本的に一生涯減薬をしないことの説明。今、この2つの原則を徹底している。反省と前進とともに。