攻撃を発動させないために、犬がくわえた物の取り返し方をマスターしておこう。

そもそも、「ちょうだい」のコマンドで、口から出すことを教えておいて、それができていればよいが、それができていないときは、とにかく丁寧に取り返すしかない。

特に犬は、物を守る本能が強い。取り上げる行為は、飼い主に対する不信感を植え付ける。自分のものを守りたいという感情と相まって、攻撃性を発動させることにつながる。所有性攻撃行動だ。最初は軽くても、繰り返していると、攻撃は激しくなる。ついには、何もしなくても、反射的に攻撃してくるようになる。

丁寧な物の取り返し方の例はこうだ。犬や猫が望ましくない物を口にしてしまったら、決して近寄らない。いったん離れる。近寄ると、警戒される。おやつを持って別の場所へ移動する。犬や猫は、おやつの方が気になって、くわえている物への執着が減っていく。そして、移動した別の部屋へ呼ぶ。入ってきたら扉を閉める。おやつを与えながら3分ほど遊ぶ。そうすると、くわえた物のことはすっかり忘れて、口から放すだろう。放した物を回収する姿を決して見せず、物を持って飼い主だけ戻る。

こうすることで、飼い主が大切な物を取ってしまうという誤解を与えずに済む。普通、人間相手に強引に物を奪おうものなら、正気の沙汰ではない。相手が犬や猫であっても、同じはずだ。