てんかんで投薬中の猫の肝酵素が上昇したらどうする?

てんかんの投薬を受けている猫の肝臓の数値が高い。

こんなとき、抗てんかん薬の副作用を原因として真っ先に考えてしまいがちだ。ところが、猫のてんかんで第一選択薬として使う薬は、肝障害を起こしにくいと言われている。この点は犬とは異なる。猫のてんかんで第一選択薬として使われる薬は、犬では構造的てんかんでよく使われるが、犬に肝障害を起こしやすい。すぐに肝酵素が上昇する。

しかし、猫は違う。猫も犬と同じ道をたどると考えてしまうと、発作の頻度が高くても薬の用量を増やさないとか、逆に減らすとかを検討してしまう。そうなると、発作の頻度がさらに増えて、収拾がつかなくなる。結果的に別の薬に切り替えるとか、追加するとか、それでも発作が減らないとかいったように、袋小路に迷い込むことになる。

実際にてんかんで第一選択薬を長期間にわたって使っている猫の血液検査をすると、肝臓の項目の数値は高くないことが多い。では、逆に高く測定された場合は何を考えるか。てんかん以外の、例えば元気食欲低下といった症状がなければ、甲状腺機能亢進症や慢性胆管炎の初期を疑う。このように、てんかんの猫の肝酵素が高く測定された場合は、てんかん以外の疾患が隠れていないか、視点を切り替える必要がある。