うちの子の“ビビり”は悪くない。不安を抱えて生まれてきた本当の意味を知る。

オオカミにどのようなイメージをお持ちだろうか。いたって友好的だという印象を持つ人はまずいないだろう。むしろ逆だ。敵対的である。警戒心が強く、人間が姿を見せれば逃げ、近づけば威嚇し、一線を超えようとすれば攻撃してくるはずだ。だが、果たしてこのようなオオカミの性格を全般性不安障害とか恐怖症とか言うだろうか。そのように診断してもよいものなのだろうかと思うのだ。

彼らは危険察知能力が凄まじく、家族以外の動物や物体に対して鋭敏に反応する。そして回避する。少しの傷も生存の脅威となり得るから無闇に戦わない。それを不安感が強いからとか恐怖感が強いからと片付けてしまえばそれまでだが、だからこそ戦いを省略することができる。つまり、不安感や恐怖感が強いことは、彼らが生まれながらにして持つ生存戦略の一つなのだ。

ここでオオカミを人間社会に連れて来ることを想定してみる。とたんに人間とうまく折り合えなくなる。唸る、吠える、咬む。それだけでは済まなくなる。もし、獣医師に診療を依頼したら、全般性不安障害とか恐怖症とか、そんな診断名を付けられるのだろう。生きるための戦略に病名が付けられる。これはポジショニングが変わって、うまくいかなくなるケースだ。オオカミに遺伝的に最も近縁な犬種であるとされる柴犬、そしてオオカミの容姿に近い中型の雑種犬。彼らもまた不安感や恐怖感が他の犬種と比較して強い傾向にある。

病名を付ける前に能力を存分に発揮して生まれてきたと捉えてあげたい。病名を付けて無理やり納得しようとするより、個性としてありのままを受け止めてあげたい。そもそも犬とともに生活をするということは、多少なりとも犬に無理をさせているという前提を見つめた方がいいだろうと思っている。そういう気持ちが人間側にちょっとでもあれば、少しは気持ちがほぐれてお互いの関係性に余裕が生まれるような気がしている。